助言が早すぎると、何が起きるか
相手がまだ状況を話している途中で解決策が示されると、話し手の側では二つのことが同時に起こります。
ひとつは、話が終わったと解釈されることです。解決策が出た以上、これ以上の説明は求められていないのだろう、と受け取る。実際にはまだ話していないことが残っていても、そこで止めます。
もうひとつは、評価されたと感じることです。解決策の提示は、暗黙のうちに「あなたはこの方法を思いつかなかった」という前提を含みます。相手にその意図がなくても、そう受け取られる。
結果として、相手は「相談しても、結局こちらの話は最後まで聞いてもらえない」と学習します。次から、相談自体が減っていきます。
衝動は、どこから来ているか
助言したくなる気持ちを分解すると、相手のためだけではない成分が混ざっていることがあります。
人の困りごとを聴き続けるのは、聴き手にとって居心地のよいことではありません。相手が苦しそうにしているのに、自分は何もできずに座っている。その状態に耐えられなくなったとき、解決策を出すという行動は、聴き手自身の不快感を下げてくれます。
これは責められることではなく、ごく普通の反応です。ただ、そう気づいているかどうかで扱い方が変わります。気づいていれば、「いま自分が楽になりたくて言おうとしている」と判断でき、いったん止められる。
自分の内側で起きていることに気づいている、という状態そのものが、自己一致です。
保留する技術
助言を思いついたら、消す必要はありません。持っておくだけでよい。多くの場合、話が進むうちに前提が変わり、最初に思いついた案は的外れだったと分かります。
話し手が本当に求めているものは、会話の途中では判別できないことがほとんどです。解決策が欲しいのか、整理を手伝ってほしいのか、ただ受け止めてほしいのか。それは、最後まで聴いてから確かめるほうが確実です。
確かめる方法は単純です。「どうしたいか一緒に考えますか。それとも、いまはもう少し話しますか」と尋ねる。この一言があるだけで、助言は押しつけではなくなります。
それでも伝えたいときは、許可を取る
聴き手が知っている情報が、明らかに相手の役に立つ場合もあります。そのときは、伝える前に許可を取ります。
「ひとつ思いついたことがあるのですが、話してもいいですか」。この確認を挟むだけで、相手には断る余地が残ります。断れる状態で受け取った提案は、押しつけになりません。
許可を取る手間を惜しまないことが、結果として助言が届く確率を上げます。急いで渡した助言は受け取られず、遅れて渡した助言のほうが使われる。逆説的ですが、よく起こることです。
練習の仕方
- 解決策を思いついたら、口に出さずに書き留めておく
- 話が終わったと思ってから、さらに一呼吸おく
- 「どうしたいか一緒に考えますか」と、相手に選んでもらう
- 助言する前に「話してもいいですか」と許可を取る習慣をつける
助言を我慢することが目的ではありません。相手が受け取れる状態になるまで待つ、という技術です。
Next Step
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